FX損益通算の可否【株との相殺・2026年比較表付き解説】

FX損益通算の可否【株との相殺・2026年比較表付き解説】

「FXで損を出したのに、株で利益が出た。相殺できないのか?」——確定申告シーズンになると、こうした疑問を持つ方が少なくありません。答えは「国内FXか海外FXか」「相手が何の金融商品か」によって異なります。本記事では損益通算の基本から、課税方式ごとの通算可否、繰越控除のやり方まで比較表付きで整理します。

この記事でわかること

  • 損益通算の基本概念と「課税区分」が通算可否を決めるしくみ
  • 国内FX(申告分離課税)の損益通算できる範囲とできない範囲
  • 海外FX(雑所得・総合課税)の損益通算できる範囲とできない範囲
  • 国内FX・海外FX・株・仮想通貨の損益通算可否を一覧比較表で確認
  • 損失の3年繰越控除のやり方(国内FXのみ)
本記事のポイント
・国内FXは「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税が適用される
・海外FXは「雑所得(総合課税)」として総合課税が適用される
・株式・投資信託との損益通算は、国内FX・海外FXともに原則として不可
・詳細は税理士や税務署へのご相談を推奨
目次

損益通算とは何か——基本概念の整理【初心者向け】

損益通算とは、ある取引で生じた損失と別の取引で生じた利益を合算して、課税対象となる所得額を計算する仕組みです。たとえばA取引で50万円の利益、B取引で30万円の損失が生じた場合、損益通算が認められると課税対象は50万円ではなく差引20万円になります。

ただし、損益通算ができる範囲は所得の「種類」によって厳格に区切られており、異なる課税区分の間では原則として通算できません。FXと株の組み合わせが複雑になる最大の理由はここにあります。

日本の所得税における主な課税区分

日本の所得税は、所得の性質に応じて複数の区分に分類されています。

  • 給与所得:会社員の給料・賞与
  • 雑所得(総合課税):公的年金・副業収入・海外FXの利益など
  • 譲渡所得(申告分離課税・株式等):株式・投資信託の売却益
  • 先物取引に係る雑所得等(申告分離課税):国内FX・商品先物取引など

「申告分離課税」と「総合課税」は全く別の課税ルートです。申告分離課税では他の所得と合算せずに一定税率で課税され、総合課税では他の所得と合算したうえで累進税率が適用されます。この区分の違いが損益通算の可否に直結しています。

国内FXの損益通算——申告分離課税の範囲

国内の金融商品取引業者(日本の金融庁登録業者)を通じて行うFX取引の利益・損失は、「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税(税率20.315%)が適用されます(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)。

国内FXと損益通算できるもの

「先物取引に係る雑所得等」の区分内であれば、以下との損益通算が可能とされています。

  • 商品先物取引(金・原油・農産物先物など)
  • 外国市場における金融先物取引
  • 申告分離課税が適用される一部のCFD取引

国内FXと損益通算できないもの

損失が生じていても、以下の商品の利益とは損益通算ができません。

  • 上場株式・株式投資信託の売却益(申告分離課税だが「株式等」区分)
  • 特定口座(源泉徴収あり)の株式売却益
  • 公社債・ETFの売却益(別の申告分離区分)
  • 給与所得・事業所得(課税方式が根本的に異なる)
  • 海外FXの利益(雑所得・総合課税のため区分が異なる)
ポイント:国内FXの損失は、国内FXや商品先物取引などの利益とは通算できますが、株式投資で生じた利益との相殺は制度上認められていません。

損失の繰越控除(3年間)のやり方

国内FXで生じた損失は、確定申告を行うことで翌年以降3年間にわたって「先物取引に係る雑所得等」の利益と通算できます。この繰越控除を受けるには、損失が発生した年から連続して確定申告を行う必要があります。申告を1年でも怠ると、その後の繰越が打ち切られるため注意が必要です。

海外FXの損益通算——雑所得・総合課税の範囲

海外FX業者を通じた取引の利益・損失は「雑所得(総合課税)」として扱われます。XM Tradingなどの海外FX業者は日本の金融庁(FSA)への登録を受けていないため、国内FXとは異なる課税ルールが適用されます。

海外FXと損益通算できるもの

総合課税の「雑所得」内での合算であれば、以下との通算が可能とされています。

  • 他の雑所得(副業収入・原稿料・講演料など)
  • 仮想通貨・暗号資産取引の損益(同じ雑所得区分内)
  • 別の海外FX業者での取引損益(同じ雑所得区分内)

海外FXと損益通算できないもの

  • 株式・投資信託の売却益(申告分離課税のため通算不可)
  • 国内FXの損益(申告分離課税のため課税区分が異なる)
  • 給与所得・事業所得(雑所得の損失は他の所得区分と通算できない)
注意:雑所得の損失は、他の所得区分(給与・事業など)との損益通算が原則として認められていません。また、雑所得の損失繰越制度は適用されないため、海外FXの損失を翌年に持ち越して控除することはできません。

損益通算の可否 比較表【2026年版】

取引の種類 課税区分 国内FX損失との通算 海外FX損失との通算 株の利益との通算
国内FX 先物取引に係る雑所得等(申告分離) ◎ 可 × 不可 × 不可
海外FX 雑所得(総合課税) × 不可 ◎ 可(雑所得内) × 不可
商品先物取引 先物取引に係る雑所得等(申告分離) ◎ 可 × 不可 × 不可
上場株式・投資信託 申告分離課税(株式等) × 不可 × 不可 ◎ 可(株式等区分内)
仮想通貨・暗号資産 雑所得(総合課税) × 不可 ◎ 可(雑所得内) × 不可
給与所得 給与所得 × 不可 × 不可 × 不可

※上記は一般的な原則をまとめたものです。個別の取引内容・業者の扱い・法改正等によって異なる場合があります。ご自身の状況については税理士または税務署にご確認ください。

国内FXと海外FXを並行して利用している場合

国内FXと海外FXを同時に取引している場合、損益の合算処理は特に複雑になります。たとえば国内FXで20万円の損失、海外FXで30万円の利益が発生した場合、一見すると差引10万円の利益に見えます。しかし課税区分が別であるため通算はできず、それぞれが独立して課税の対象となります。

具体的には、国内FX損失20万円は翌年以降の申告分離課税(先物)利益と繰越相殺できますが、海外FX利益30万円には別途、雑所得として総合課税が課される可能性があります。複数の口座を使っている方は、年初から取引記録を整理しておくと確定申告の手間を大幅に軽減できます。

デメリット・注意点——損益通算の落とし穴5つ

1. 繰越控除は申告しないと消える

国内FXの損失繰越控除は、損失が発生した年の翌年から3年間有効ですが、毎年継続して確定申告を提出することが条件です。たとえ繰越すべき損失がある年に利益がゼロでも、申告を怠ると翌年以降の繰越権利を失います。

2. 住民税・健康保険料への影響

確定申告のデータは原則として住民税の算定にも使われます。海外FXの利益が雑所得として総合課税されると、課税所得が増えた分だけ住民税・国民健康保険料に影響が出ることがあります。給与所得のある会社員は特に注意が必要です。

3. 海外FXの損失は翌年に繰越せない

国内FXには損失の3年繰越控除制度がありますが、海外FXの損失(雑所得)にはこの制度が適用されません。その年の雑所得内で通算して終わりとなるため、損失が大きく他の雑所得がなければ控除しきれない可能性があります。

4. 誤申告は修正申告・追徴課税のリスクがある

通算できない損益を誤って申告してしまうと、税務署から指摘を受け追加納税・延滞税が発生するリスクがあります。FX・株・仮想通貨をすべて組み合わせて取引している方は、専門家である税理士への相談が安全策です。

5. 年末のポジション管理にも注意

損益の計上タイミングは業者・取引種別によって異なります。ポジションが年をまたぐ場合、損益計上が翌年になることもあります。年末に向けてポジション状況を整理しておくと、確定申告時の混乱を防ぐことができます。

まとめ

FXと株の損益通算は、課税区分の違いから原則として認められていません。要点をまとめます。

  • 国内FX(申告分離課税)は商品先物・一部CFDとは通算できるが、株とは不可
  • 海外FX(雑所得・総合課税)は同じ雑所得区分の利益とは通算できるが、株とは不可
  • 国内FXには損失の3年繰越控除あり、海外FXにはなし
  • 複数の金融商品を扱う場合は税理士への相談を推奨

税制は改正が行われる可能性があります。本記事は執筆時点の情報をもとに作成しており、最新情報は国税庁公式サイトや税理士にご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 国内FXで損失が出ました。株式投資の利益と相殺して税金を減らせますか?
A. 残念ながら、国内FXの損失(先物取引に係る雑所得等・申告分離課税)は、株式売却益(申告分離課税・株式等)とは課税区分が異なるため損益通算できません。国内FXの損失は翌年以降3年間、国内FXや商品先物の利益と通算できる繰越控除として活用することをご検討ください。
Q. 海外FXの利益と株の損失は相殺できますか?
A. 相殺できません。海外FXの利益は雑所得(総合課税)、株式の損失は申告分離課税(株式等)として区分が異なります。それぞれ独立して申告が必要です。株式の損失については、株式等の申告分離課税内での損失繰越控除をご活用ください。
Q. 仮想通貨(暗号資産)の損失と海外FXの利益を相殺できますか?
A. 仮想通貨取引の損益も原則として雑所得(総合課税)に分類されるため、同じ雑所得区分内での通算は可能とされています。ただし取引の内容によって扱いが変わる場合があり、詳細は税理士または国税庁のガイダンスをご確認ください。
Q. 国内FXの損失繰越控除を受けるにはどうすればよいですか?
A. 損失が発生した年の確定申告で「先物取引に係る雑所得等の課税明細書」を提出し、損失額を申告します。以降3年間は毎年連続して確定申告を行う必要があります。詳細は国税庁公式サイトか最寄りの税務署にお問い合わせください。
Q. 海外FXの税金はいつ、どこで支払えばよいですか?
A. 海外FXの利益は毎年1月1日〜12月31日の年間損益を翌年2月16日〜3月15日の確定申告期間中に申告・納税します。源泉徴収は行われないため、自分で年間の損益を計算して確定申告書を作成する必要があります。e-Tax(国税電子申告・納税システム)も利用可能です。

【重要な免責事項・法的開示】

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本記事は情報提供のみを目的としており、投資を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引であり、相場の変動によって元本を上回る損失が生じる可能性があります。元本割れのリスクを十分にご理解の上、取引はご自身の判断と責任で行ってください。

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